生体リズム内的脱同調の健康影響と脆弱性要因の解明 - 公募研究

  1. A01 秋山
  2. A01 越智
  3. A01 茶谷
  4. A01 清木
  5. A01 二川
  6. A01 川上
  7. A01 冨田
  8. A01 本田
  1. A02 篠原
  2. A02 前川
  3. A02 大神
  4. A02 西村
  5. A02 河野
  6. A02 岩瀬
  7. A02 古市
  8. A02 明
  9. A02 北村
  1. A03 中村
  2. A03 原田
  3. A03 井出
  4. A03 白井
  5. A03 柿沼
  1. B01 ラザルス
  2. B01 三輪
  3. B01 國枝
  4. B01 島田
  5. B01 北宅
  6. B01 沢野
研究課題名 生体リズム内的脱同調の健康影響と脆弱性要因の解明
研究代表者
北村 真吾
  • 北村 真吾
    国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所・室長
    Website
    http://
連携研究者
  • 三島 和夫
    国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所・部長

目的

国際宇宙ステーション(ISS)などは低照度隔離環境であり、睡眠の長さを維持できても生体リズムとの適切な関係の維持が困難であり、内的脱同調を来す可能性があることがこれまでの研究で示唆されている。特に近年では、社会的スケジュールによって生じるわずか1時間程度の内的脱同調(社会的ジェットラグ)が心身の健康の低下リスクとなることが知られるが、内的脱同調のリスク要因を精密に評価した研究はない。
本研究では、ISS低照度環境を模擬した隔離実験および疫学調査により、低照度環境での内定脱同調出現を検証し、併せてリスク要因(クロノタイプ、光同調能、社会・その他の生物学的要因)の評価を行う。

これまでの研究概要

1. 「内因性概日リズム周期による概日リズム睡眠障害非同調型罹患リスク」:
概日リズム睡眠障害非同調型は、睡眠時間帯が毎日約1時間遅れてゆく睡眠障害であり、周期的な夜間の不眠、日中の眠気、精神疾患との高い併存によって社会生活に大きな支障が生じる。6名の非同調型患者と17名の中間型・夜型クロノタイプをもつ健常者を対象に強制脱同調試験という特殊な睡眠スケジュールにより体内時計の周期を精密に評価した結果、非同調型患者の周期は24.48±0.05hと中間型クロノタイプ(24.12±0.07h)に対しては大きな延長がみられ、24時間リズムへの体内時計の同調が困難になっていることが明らかとなった。一方24時間リズムに同調している夜型クロノタイプ(24.22±0.10h)の一部とは周期の重複が認められたことから、光同調能などの複合要因が寄与することが示唆された。

2. 「抑うつ状態リスク要因としての夜型クロノタイプ」:
夜型指向性と抑うつ状態の存在との関係性の検証を行った。成人男女1,170名(平均年齢38.5歳)を対象としてクロノタイプ(朝型夜型)、睡眠状態、うつ症状の有無に関する評価を行った結果、夜型指向性が強いほど睡眠時間帯が後退し、睡眠時間が短縮し、主観的睡眠感が不良であり、日中の眠気が強かったと同時に、抑うつ状態を有する対象者の割合が増加した。ロジスティック回帰分析の結果、睡眠時間や睡眠の質とは独立して、強い夜型であることが抑うつ状態の存在と有意な正の関連を示した。

3. 「日本語版ミュンヘンクロノタイプ質問紙の妥当性検証」:
ミュンヘンクロノタイプ質問紙(MCTQ)は仕事や学校、家事などの制約がない日の睡眠のタイミングを個人のクロノタイプの手がかりとする質問紙である。一般地域住民450名を対象とした調査により標準的な朝型夜型質問紙(MEQ)との有意な相関が得られた。さらに成人男女37名を対象としたメラトニン分泌開始時刻との比較により、MEQよりもMCTQで高い相関が得られたことから、MCTQ日本語版の有用性と妥当性が確認された。

本年度の研究計画

低照度隔離環境における内的脱同調の発生を隔離実験によって明らかにする。異なるクロノタイプを有する健康成人を対象にISSの光環境(覚醒期間で約150lux)を想定した4日間の低照度隔離実験を実施し、概日リズム位相(メラトニン分泌開始時刻)と睡眠覚醒スケジュールとの乖離を指標として内的脱同調の出現を検証する。実験期間中を通じて、日中は低照度(約150lux)に設定した実験室内で被験者に過ごしてもらう。3 日目の午前の起床後に1 時間の高照度光の光曝露を高照度光治療器を用いて行う。内的脱同調の出現に対するクロノタイプおよび光同調能の寄与を検証する。

図. 低照度環境による内的脱同調の評価